ラピッド安定器でいろいろな直管蛍光灯を点灯

ラピッド式の銅鉄安定器(FLR40の1灯用)を入手したので,これを使っていろいろな蛍光灯の点灯を試してみました。このページでは直管蛍光灯の点灯を試した結果をまとめています。丸形やコンパクト形の蛍光灯の点灯については丸形編コンパクト形編をご覧ください。

なお,不適合なランプの点灯は本来の使い方ではないので試す場合は自己責任でお願いします。

使用する安定器

使用する安定器はTOSHIBAのFRH-40128Aです。Yahoo!オークションで入手しました。ラピッド式の銅鉄安定器にもいくつかの種類がありますが,この安定器はラピッド式の中では最も一般的なピーク進相形と呼ばれるタイプです。

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FLR40の1灯用で100V 50Hz仕様となっています。100V 50Hzのラピッド安定器はなかなか出てこないので実は結構貴重です。銅鉄の塊なので質量が約1.2kgあり,結構重たいです。

結果

いきなりですが,結果を以下の表にまとめました。その後,それぞれについて実際の点灯の様子を画像や動画も交えながら記していきます。なお,ランプの始動性や消費電力は電源電圧,電源極性,近接導体の有無,周囲温度,安定器やランプの個体差などによって変化するため,あくまでも自分の環境での実験結果となります(この実験では近接導体は設けていません)。

使用したランプの中には端が黒ずんでいるものがありますが,これは過去にいろいろ遊んでいた時に黒くなってしまったもので,(一部を除いて)切れているわけではないため別の器具で正常に点灯できることは確認済みです。

点灯可否安定器込消費電力使用したランプ備考
メーカー表記製造表記型番
無負荷約5W
FLR40S(内面導電被膜方式)約48WPanasonicMEFLR40S・W/M-X・P R
FLR40S(外面ストライプ方式)約48WPanasonicMEFLR40S・D-SDL/M
FLR40S/36(内面導電被膜方式)約47WTOSHIBAMEFLR40S・EX-W/M/36-H
FL40S約47WPanasonicMEFL40S・W R
FL40SS/37×約8WNEC▼▲FL40SSEX-N/37-X
FL40SS/36×約8WOHMFL40SS・W/36
FLR40SS/32約48WOHMFLR40SS・W/32点灯したりしなかったり始動が不確実
FHF32約47WNEC▼▲FHF32EX-N-HX-S点灯したりしなかったり始動が不確実
FHF63約47WPanasonicIWASE.P.DFHF63EN-G点灯したりしなかったり始動が不確実。点灯する場合でも始動がややもたつく
FLR110H(外面シリコン方式)×約11WNationalMEFLR110H・EX-N/A全体が薄暗く光る
FLR65(外面ストライプ方式)約54WNationalMEFLR65D/Mやや暗めの点灯
FL65SS/58×約8WNationalMEFL65SS・EX-N/58
FHF50約53WNationalMEFHF50EX-D始動がもたつく。やや暗めの点灯でチラつきが目立つ
FL52S約54WNEC▼▲FL52SDやや暗めの点灯
FL35SS×約8WHotaluXIWASE.P.DFL35SSEX-D-HG
FLR32S(内面導電被膜方式)約37WPanasonicMEFLR32S・W/M-X
FL32S約39WNEC▼▲FL32SEX-D-HG
FL30S約33WMITSUBISHI/OSRAMSOCFL30SD
FL25SS約35WNational▼▲FL25SS・W
FLR20S(内面導電被膜方式)約31WPanasonicMEFLR20S・W/M-X R
FLR20S(外面ストライプ方式)約31WPanasonicMEFLR20S・EX-L/M
FL20S約31WPanasonicMEFL20S・EX-N
FL20SS/18約31WTOSHIBATSPFL20SS・EX-WW/18-Hランプによっては点灯したりしなかったり始動が不確実
FL20SS/18(切れたランプ)約11WOHYAMATSFL20SS・W-F/18暗くチラついた点灯(ラピッド蛍光灯が切れた時のような感じ)
FL20SS/18(OHM)×約6WOHMFL20SS・EX-N
FHF16約31WPanasonicIWASE.P.DFHF16EX-W-H
FL18SS約28WNationalWEFL18SS・EX-N
FL15約28WHITACHIHLKFL15N-B
FL10約24WNationalWEFL10ECW
FL8約24WTES・LIGHTINGTB-08/R一部点灯しないランプがある
FL6約23WNEC▼▲FL6D一部点灯しないランプがある
FL4約19WPanasonicHLLFL4W
FHF54S×約9WPanasonicIWASE.P.DFHF54SEL
FHF39S×約8WSUDOIWASE.P.DS-3339
FHF24S約32WPanasonicSPOTONEFHF24SEN始動がややもたつく
FHL27約29WPanasonicIWASE.P.DFHL27EX-N
FHL6約24WNationalMEFHL6EX-N

ラピッド式銅鉄安定器の場合,定格より長いランプを点灯すると消費電力が上がり,逆に短いランプだと消費電力が下がるようです。また,点灯しない場合でもフィラメントには通電していて数Wの電力を消費するようです。

無負荷

実際に点灯させる前に,無負荷状態(蛍光灯を接続しない状態)で通電してみました。

蛍光灯を接続していなくても,スイッチを入れると安定器から音がします。

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ちなみにこの状態での消費電力は約5Wでした。このように,多くのラピッド式銅鉄安定器では,ランプを取り外しても消費電力は0Wにはなりません。

FLR40S(内面導電被膜方式)の点灯

安定器の動作確認も兼ねて,まずはFLR40S(内面導電被膜方式):Panasonic(ME)FLR40S・W/M-X・P Rの点灯を試してみました。

問題なく点灯しました。全体がじわじわと明るくなるラピッド特有の点き方はやはり癖になります(ぇ

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FLR40S(外面ストライプ方式),FLR40S/36(内面導電被膜方式),FL40S,FL40SS/37の点灯

以下のランプの点灯を試しました。

FLR40SとFLR40S/36は問題なく点灯しました。また,FL40Sも点灯しました。FL40Sはラピッド安定器でも点灯する場合が多いようです。

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一方,FL40SS/37は点灯しませんでした。FL40SS/37はラピッド安定器だと点灯しない場合が多いようです。部屋を暗くすると,フィラメントが赤く光っているのが確認できました。

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FL40SS/36,FLR40SS/32,FHF32,FHF63の点灯

以下のランプの点灯を試しました。

FHF32はこの動画の撮影時は問題なく点灯しましたが,後日再度試してみたところ点灯したりしなかったりで始動が不確実でした。FHF63も始動が不確実で,点灯する場合でも始動がややもたつくことがありました。

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FL40SS/36とFLR40SS/32は日本のメーカーの中ではOHMのみが販売している規格のランプです。FLR40SS/32はFHF32と同様に始動が不確実でした。また,FL40SS/36は点灯しませんでした。FL40SS/36はFL40SS/37と同様にラピッド安定器だと点灯しない場合が多いようです。部屋を暗くすると,フィラメントが赤く光っているのが確認できました。

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自分がこれまで他に行ってきた検証も含めて考えると,FL40SS/36はランプ電圧・電流ではFLR40S/36に近い特性,ラピッド安定器での始動性ではFL40SS/37に近い特性があり,FLR40SS/32はランプ電圧・電流,ラピッド安定器での始動性ともにFHF32に近い特性があるようです。

FL65SS/58,FHF50,FL52S,FL35SSの点灯

直管40形サイズの点灯は一通り試したので,ここからはサイズの異なるランプの点灯を試してみます。まずは以下の4種類です。

FHF50は点灯しましたが,始動にもたつきがあり,暗くてチラつきが目立ちました。FL52Sは問題なく点灯しましたがやや暗めな印象でした。

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FL65SS/58とFL35SSは点灯しませんでした。部屋を暗くすると,どちらもフィラメントが赤く光っているのが確認できました。

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ちなみにFLR65用の銅鉄安定器もあるようですが(マイナーすぎて入手は不可能),その安定器でもFL65SS/58は点灯しないらしいです。

FLR32S(内面導電被膜方式),FL32S,FL30S,FL25SSの点灯

以下のランプの点灯を試しました。

どれも問題なく点灯しました。スイッチONと同時に点灯するランプも出てきました。

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FLR20S(内面導電被膜方式),FLR20S(外面ストライプ方式),FL20S,FL20SS/18の点灯

以下のランプの点灯を試しました。

どれも問題なく点灯しました。ただ,FL20SS/18はランプによっては点灯したりしなかったりで始動が不確実でした。

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他にもいろいろなメーカーのFL20SS/18の点灯を試してみたところ,TOSHIBA(TSP)とHITACHI(HLK/HLL)は比較的点灯しやすい一方で,National/Panasonic(ME)とNEC/HotaluX(▼▲)とMITSUBISHI(SOC)は比較的点灯しにくい傾向があるようです。

FL20SS/18(切れたランプ)の点灯

FL20SS/18に関しては寿命を迎えたランプ(グロー式だと点滅を繰り返す)も持っているので,その点灯も試してみました。OHYAMA(TS)のFL20SS・W-F/18です。

暗くチラついた点灯で時々一瞬明るくなるという,ラピッド蛍光灯が切れた時のような光り方になりました。学校にあったラピッド蛍光灯も切れた時はこんな光り方をしていて,その様子を陰からじっと見つめていたのを思い出します(ぇ

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FL20SS/18(OHM),FHF16,FL18SS,FL15の点灯

以下のランプの点灯を試しました。

FHF16とFL18SSとFL15は問題なく点灯しました。

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一方,OHMのFL20SS/18は点灯しませんでした。OHMのFL20SS/18は管径が25.5mm(他社のFL20SS/18は28mm)となっているなど仕様が他社とは異なっており,その影響なのかラピッド安定器での始動性にも差があるようです。部屋を暗くすると,フィラメントがわずかに赤く光っているのが確認できました。

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FL10,FL8,FL6,FL4の点灯

以下のランプの点灯を試しました。

どれも問題なく点灯しました。ちなみにTES・LIGHTINGのTB-08/Rの正体はOHMが販売しているファイブエコです。ファイブエコの8WはFL8と物理的にも電気的にも互換性があります。

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ただ,FL8とFL6に関してはPanasonic(IWASE.P.D)のランプだと点灯しませんでした。これまで安定器の定格より短いランプは多くが点灯できていただけに意外な結果でした。FL4はPanasonic(IWASE.P.D)のランプでも点灯しました。

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FHF39S,FHF24S,FHL27,FHL6の点灯

以下のランプの点灯を試しました。

FHF24Sは始動がややもたつくことがありましたが点灯しました。FHL27とFHL6は問題なく点灯しました。

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FHF39Sは日本のメーカーの中では岩瀬プリンス電機のみが製造している規格ですが,ラピッド安定器では点灯しませんでした。部屋を暗くすると,フィラメントが赤く光っているのが確認できました。

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(追加)FLR65(外面ストライプ方式)の点灯

新たにFLR65(外面ストライプ方式):National(ME)FLR65D/Mを入手したので,そのランプの点灯も試してみました。

少し暗めですが,問題なく点灯しました。

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(追加)FLR110H(外面シリコン方式),FHF54Sの点灯

新たにFLR110H(外面シリコン方式)とFHF54Sを入手したので,そのランプの点灯も試してみました。

どちらも点灯しませんでしたが,FLR110Hは全体が薄暗く光りました。

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部屋を暗くすると,どちらもフィラメントが赤く光っているのが確認できました。

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まとめ

FLR40の1灯用ラピッド安定器で直管蛍光灯の点灯をいろいろ試した結果,全体的な傾向としてはFL管の省電力タイプが点灯しにくいようです。また,定格より長いランプを点灯するとランプ電流が不足して暗くチラついた点灯になりますが,逆に定格より短いランプを点灯した場合にランプ電流が増えすぎて眩しく点灯するようなことはないようです(グロー式の銅鉄安定器では定格より極端に短いランプを点灯するとランプ電流が増えすぎて眩しい点灯になります)。

ちなみに,直管蛍光灯には今回試したものの他にもいくつか種類があります。調べた範囲だと点灯するかどうかは以下のようになるらしいです。ただし手持ちにないため実際には試せていません。

点灯するもの
  • FLR80H
点灯しないもの
  • FLR110H/100
  • FHF86